ヤマハギター巡礼その3・YAMAHA FG 180

ギター巡礼その3は現在、僕と一緒にアコギライブに出演してくれる、相方・M氏の愛器FG180です。彼は昭和48年(1973)に三重県・合歓の郷(ねむのさと)で開かれた第6回ヤマハポピュラーソングコンテスト、通称ポプコンに東北代表の2組のうちの1組「マーガレット」のギターとして参加しています。エントリー曲は『旅にでるなら』(決勝大会での登録は「旅に出る時は」にタイトル変更)で彼の作詞・作曲によるもの。マーガレットは別々の高校へ進学した中学校の同級生の集まりで男3人に女2人の5人グループ。昭和43年当時、このまちは東北のド田舎でこんなトロくてどんくさいまちからポプコンの決勝大会にエントリーしたなんて、今考えてももの凄い快挙でもあります。その頃、FG180はM氏の知人が所有していたもので、M氏はこれを借りてライブ活動をしていました。そんな折り、ヤマハの新人発掘コンテストに応募、とんとん拍子で盛岡大会を経て仙台電力ホールで行われた東北大会で優勝しました。M氏はそれまでこの借り物のFG180を使用していましたが、決勝大会では自分のギターを購入しグレードアップしたFG450で演奏したそうです。ちなみにこの年のグランプリ曲は小坂明子の「あなた」でした。
さて、FG180は今ではM氏が知人から貰い受け所有しているわけですが、さすがに40年近くの年月を経たギターですからそれなりに痛んでおります。特に糸巻きの弱さは致命的でいくら正確にチューニングしても弾いているうちに狂ってきます。これは歯車がすり減ってトルクが落ちているためと思われ6.5弦は如実です。また、3弦のペグのつまみが共鳴してビビリます。ネック周りはかなり太めかつ厚めのシェイプで慣れが必要です。しかもかなりの順反りと駒の浮き上がりがありますから12フレットの弦高は7ミリ弱。本来ならリペアが必要な状態ですが、このまちに楽器屋はすでに無く修理にも出せません。しかし、FG180のアメ色になった胴はかなりの音量で鳴ります。さすが赤ラベル、ダテではありません。FG180詳細は次の通り。胴型フォーク、表板スプルース、裏板マホガニー、側板マホガニー、棹マホガニー、指板ローズウツド、下駒ローズウツド。生産期間1966年10月~1972年06月、価格16000円。最後に蛇足ですがポプコン決勝大会用に購入したFG450はFG180より値段が高いのにイマイチ音が良くなかったような…とM氏はこぼしておりました。そのうちFG450も巡礼しよと思っております。

YAMAHA APX-6SAの調整をしました

先日のライブでピエゾを仕込んだFG130+プリアンプを使ったのですが、相方M氏からPA卓で音量を上げていくといかんせん音が固い感じで耳障りだという指摘がありました。最初にFG130を使ったライブではマイクで音を拾ったので、若干のハウリはあったもののまずまずの音でした。次のライブではマイクだと弾き手の自由度が制限されるので、FG130を改造してピエゾを仕込んだのですが、ピエゾの位置がイマイチ悪いことと、卓まかせだとストローク、チョッパーともEQが同じレベルなので音が割れたりしていたようです。そこで、4月5日第2回アコギnightのライブでは相方M氏宅のギタースタンドで長年お休み中のAPX-6SAを使うことになりました。このギターは僕と同級生でその昔、僕と同じベース(YAMAHA-BB-2000)でバンド活動をしていたI君のギター。彼のBBはサンバーストで僕のはナチュラルでした。お互いこのベースにベタ惚れだったのですが、両者ともある時期、お金に困り彼は知り合いのギター弾きに、僕はヤフオクで売却したのでした。現在彼はこのまちを出てどこかで仕事をしているはずです。APXは彼がこのまちで最後にバンド活動をしていたM氏宅に預けたまま10年ほどの歳月が流れています。
そんなAPXを借りることになったのですが、硬めの弦を張ったままずっと放置していたのでコンディションは最悪。練習で3曲も弾くと左手の指が悲鳴を上げます。12フレの弦高は5ミリもありFG130より1ミリ高いわけで、本当にこれがエレアコか?と疑うほどでした。そこで借り物のギターですが気持ちよく弾くための簡単な調整をすることになりました。
まずトラスロッドでの反り調整。最初90度ほど回して様子見。翌日また90度弱回して、2.3日弦を張らずに放置。その間、サドルを削って弦高を下げることにしました。セロテープとマジックで1ミリのラインを書き少しずつ削っては、慎重に張りを繰り返しました。結果、0.8~1ミリほど削り弦高は12フレの4ミリとなりました。はっきりいってあと1ミリ下げたいところですが、あくまでも借り物ですから無茶は禁物。APX-6SAの詳細は次の通り。発売時価格・60,000円、1995年04月~2001年06月まで販売。胴型・APXカッタウェイ、弦長    651ミリ、表板スプルース、裏板ナトー、側板ナトー、棹ナトー、指板インドローズ、下駒インドローズ。ちなみにこのギターも「おまけ画像」にある解体された楽器屋で購入したものと思われます。スライド画像のBGMはAPX-6SAの生音です。かなり「捨ててる」感があります。PA通したらどんなパフォーマンスをしてくれることやら。

ヤマハギター巡礼・その2・YAMAHA CP-400

ところでギター弾きという人種はバンドはやってなくても、定期的にネックは握っていたいもので、おもちゃ代わりに旅のレコード屋、故・寅次郎から2000円で鈴木楽器のガット(中古)を購入。このギターはガットの割にネックが薄めにシェイプされて弾きやすかったため久々にお気に入りとなり昔の演歌や歌謡曲などを弾いていたのですがいかんせん音が貧弱でした。そんなある夜、ヤフオクで70年代のガットギターCP-400を発見、なんとガットギターのくせにポディションマークがある変わり種、弦長・658mm、表板・スプルース単板、裏板・パリサンドル、側板・パリサンドル、ネック・ナトー、指板・パリサンドル、下駒・パリサンドルという仕様で、なんだかだまされた気持ちでしたがめでたく落札。
届いたCP-400はかなり弾き込まれた風情でネックの付け根にストラップピンが追加されていました。あれ?と後ろのストラップピンを見たら、プラグが入るじゃないの。だいたいにしてクラシックギターにストラップピンなんか付いてないじゃん。もしかしたら…とギター内部を携帯電話のカメラで撮影すると、なんとピエゾが内臓されていました。オークションでこのギターを売った中古屋さんはピエゾのことを記載していなかったからこの分野は素人さんだったようです。
なにはともあれ、棚からボタ餅のピエゾ付きガットギター用に、知り合いのエンジニアにプリアンプ制作を依頼、後日エレガットとしてよみがえりました。
CP-400は1976年11月~1983年08月まで生産され価格は40000円。スプルース単板に明るめのクリア塗装仕上げのパリサンドル側板が印象的です。音は伸びた古い弦のままなのでそれなりの音ですが結構、箱鳴りするタイプです。ただ、ネックがあまりにも男らしいシェイプなのでエレキギターから持ち替えたりすると戸惑います。

ヤマハギター巡礼・その1・YAMAHA N-1000

ヤマハギター巡礼・第一弾は、公園デビューの相方、盛岡のT氏宅にあるYAMAHA N-1000。独特のヘッドの形に「N」マーク、表板はエゾ松、裏板はハカランダの3ピース、側板もハカランダ、ネックはアフリカンマホガニー、指板、下駒は黒檀、フレットにはチョウチョなのか李朝風コウモリのような装飾があって、結構派手目かも。ヤマハの中古業界では独自のシブいルックスでジャパンビンテージシーンとして意外と人気のモデル。ちなみにネットオークションでは前期型だと10万円を超すようです。1978年あたりの前期型と1980年代前半の後期型があるらしく、今回の巡礼で遭遇したのは前期型らしい。らしい…というのも、なんとこのギターはT氏の知人である某作家さんが所有者であり、直接の購入背景などは所有者の作家先生しか知らないわけです。ちなみに当時の新品購入価格は10万円らしいです。そんなN-1000ですが、作家先生宅では今や弾かれることもなく、もう何年も前からT氏宅のギター貯蔵庫に出家しておりまして、たまにライブなどで使われているらしいです。
N-1000の音はクリアな中高域とサスティーンの効いた低域はストロークからアルペジオまで幅広く対応する、オールラウンダーですがネックが太く弦高は高めで、今風のピッキングギターとは趣が違うようです。今回は弦も古いままの状態で弾いたので曇った感じになっていますが、弦を張り替えればパフォーマンスは数倍上がります。
最後にYAMAHAのN-1000と言えばやはり中島みゆき。世界歌謡祭にエントリーされた「時代」をN-1000で弾き語りで歌いました。このことからN-1000をはじめYAMAHA「N」シリーズは「中島みゆきモデル」の別称があります。