久々に橫溝を読む

橫溝正史作品集①『真珠郎』

図書館に橫溝の旧作を集めたシリーズが三冊あったので、手始めに『真珠郎』が入ったのを借りた。本書に入っている作品は、犬神家や八つ墓で活躍する探偵・金田一ではなく、白髪の探偵・由利先生と新聞記者・三津木俊助が事件の謎を解く何作かの短編が入っていて、最終話が『真珠郎』だった。しかし、1ページ二段組みの文字の小ささと、展開のワンパターンさに飽きて中盤戦で放棄。『真珠郎』まで行かずに返却日となって、延長もせずそのまま返却した。たしか『真珠郎』は美麗な男が女装して殺人を犯すようなトリックだったと思った。古谷一行がテレビドラマでやったのを観たような記憶がある。それにしても気味悪い表紙だ。内容も相変わらずで銀座のデパートのショーウィンドーに切り刻んだ死体をマネキンに混ぜておいて、それを少年が発見するみたいな設定の話はらはじまる。事件に巻き込まれる新聞記者が翻弄されるパターンが定番で、これは橫溝自身が作家になる前に新聞記者だった経験からだろう。中学~高校時代にはじめて読んだのは『八つ墓村』そしてその後、熱狂的に好きになったのが『犬神家の一族』だ。その他にも名作はあるが、僕にとってはこの二作が橫溝の金字塔だと思う。ちなみに石坂浩二が金田一役の初期バージョンが好みだ。

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