赤と黒のさあもん太

オリベッティタイプライター赤と黒。昔はあこがれたものです

僕がデザイナーとして鼻息を荒くしていた、もう今から30年も前のこと、宮古市のシンボルマーク応募のコンペがあって、応募したのがサケの赤ちゃんをモチーフにした「さあもん太」だ。コンテストではおしくも特別賞を受賞したが、それは甲子園の優勝校と準優勝校と同様に、とって付けたような賞状だけで賞金も出なかった。賞金もなしでデザインの版権だけはよこせという指示に反感を覚え、特別賞受賞を辞退しデザインを、当時自分が販売促進で手伝っていた地元のお菓子屋さんへ寄贈する旨を伝えた。特別賞とはいえ使いもしないデザインをお蔵入りにすることもあるまいと思ったのだ。そしたら、デザインとしてシンボルマークとは別の部分で使いたいという。しかも版権は買い取るという。その金額10万円+アルファー。よし、売った。そんなわけで「さあもん太」はお菓子のサブレーの型となって販売される道から晴れて宮古を象徴するマスコットデザインとして、封筒や、乗合バスのラッピング、移動図書館車、漁協のゴミ袋など、さまざまなところで利用された。そんな中に市内のワークショップが生産するミニタオルがあって、これに「さあもん太」がプリントされ今も現行販売されている。今はもう「さあもん太」を知る人はわずかしかおらず、デザインも今風なゆるキャラ風にアレンジできないことから見向きもされない。しかし世の中には奇特な人がいるもので、ミニタオルに使われている判を使ってTシャツにプリントしてくれた人がいる。製造枚数は限定3枚。そのうちの赤と黒の二枚を頂いた。お気に入りの部屋着にしている。

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